「石と古本 石英書房」の日々

お店の最新情報と、石や本、お散歩その他、店主の好きな物事について綴ります。

なぜに田端

お店を田端に決定するまでには、いろいろな場所のいろいろな物件を見てまわっています。
広さや賃料といった基本的な必要条件以外では、私の中で“譲らない!”と
思っていたことは

   1、何らかの文学的な所縁がある地域であること
   2、私自身が居心地がよいと感じる空間であること
   3、何かの事情で子供達と同伴出勤になっても、子供が外を歩きやすい
   環境であること

等でした。
逆に、上の三つの条件にはかなっており、ぜひここで・・・と思っても、
今度は基本条件が折り合わなかったり。やはり難しいか・・・と、
一時は休眠状態となっていました。
でも、何となくいずれは機が熟すタイミングは来るであろうという
楽観的な気分もありました。あくまで物件とのめぐり会いという意味でですが。


そんな折、決定物件との出逢いがありました。
お恥ずかしい話ですが、私はつい最近まで田端の駅を降りたことがなく
(少なくとも辿ってみた記憶にはないです)、最近の際も所謂「表口」の北口だけ通って
“これはちょっと私の感じとは違う”と思い込んでしまったほどでした。
だから、不動産屋さんの方と南口周辺を初めて歩いたときは、なかなかの衝撃でした。
懐かしいような風情、閑静ながら寂れた感じとは全然違う雰囲気に、自分の気持ちが
しっくり寄り添う感じがしました。
本来、周囲の人の流れやら住民層などをもっと慎重に入念に調べたり
すべきなのですが、
もう野性の(?)直感で「ここ!!」と思ってしまいました。
野性といっても研ぎ澄まされたものでなくて、まるで素人直感なのですが、この地に
馴染めるよう頑張りたいと思います。


なお、1の条件を満たした要素である「田端文士村」は、調べるほどに
人々の交友関係等が多彩だったことが分かっていき、大変に楽しいです。
中央図書館で借りた『田端文士・芸術家村と女たち』(北区総務部女性政策課/編、
ドメス出版)が殊に面白く、知識を得ることができました。

中公文庫の『田端文士村』(近藤富枝著)からも、学ばせて頂いています。


さて、それらの本にも登場する瀧井孝作氏の作『無限抱擁』の復刻版を、
昨日ブック・ダイバーさんからの帰り道に三省堂の表のワゴンで
見つけてしまった私は、やはり古本の神様に見守って頂いているのでしょうか。
迷わず入手しました。未読なので、非常に嬉しいのです。


田端の魅力を自分のことばで語れるくらいに、早く知識を消化吸収したいです。

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