「石と古本 石英書房」の日々

お店の最新情報と、石や本、お散歩その他、店主の好きな物事について綴ります。

読書会報告

「古本 石英書房」は、10月30日(土)は「ふるほん日和」出店のため、
田端の実店舗を休業させて頂きます。

皆様、向島にもぜひお越し下さいませ。よろしくお願い致します。



先日の「主婦的読書会」について。
私の人生の中で、自分の発案がこのように形になったことは
今までなかったように思います。
ですから緊張しておりましたが、皆さんどんどん話して下さったので
空気が停滞することなく好ましい雰囲気に包まれ、ほっと致しました。


自分の記憶にも記録にもまるで自信がありませんので、あらかじめ出席者の
お一人に書記をお願いしてしまいました。そちらのブログもぜひお読み下さい。
さすがの明晰な出来栄えです。


    駄々猫舎☆活動記録

      http://dadaneko-chat.seesaa.net/



夏石鈴子さんは、ご自分の作品がどのように読まれているかということを
知りたいと感じていらっしゃるとのことです。
私が仰天してしまった今回の夏石さん自らによるご参加のお申し出も、
思ったら行動するという姿勢をとったに過ぎないという風情で
いらっしゃいましたが、これは大変印象的でした。
思っても出来ずにいることは日々の中で実に多いので。
私は夏石さんの作品の、主人公が置かれた状況の中でいかにより良い方向へ
向かおうかと考え実行するところが非常に好きなのですが、これはやはり
ご自身の生き方の投影なのだと感じました。
作品を書く側と読む側で、こういうコミュニケーションの取り方もあるのだと
目が開かれるような思いがしました。


作品のどのあたりが印象に残ったかという点を主軸に話は進みましたが
(ご本人による該当箇所の朗読付きという贅沢さ!)、
どう人と接していくべきか、どんな人間であるべきかという根本的な問題に
常に行きついていたように思われました。特に、人間同士の遣り取りという点で。
愚痴になりそうでならない主婦話も満載でした。
子持ち組の私などはどうしても子供絡みの苦悩(?)も話題にしてしまうのですが、
そのあたりも受けとめて頂けて嬉しかったです。
子供を基準にした世界だけにいると話題もそちらに大きく傾いてしまいがちですが、
今回の場は皆さんそれぞれの経験に即した話題が実に楽しかったです。
世界が広がる思いでした。
主婦に、案外この世界の広がりを実感する機会が少ないという感じも、
今回の会実施の動機でした。“大人”(?)になった今こそ、そういう場が欲しいのに。
それこそ、欲するだけでなく自分から作っていくべきなのでしょうね。
今回実感しました。


何だか凄く壮大なことを語り合った印象になってしまったかもしれませんが、
そういう訳でもありません(笑)。主婦・女性の嫌な醜い面も多く語られました。
けれども、皆さんとお話して、女ならではのパワーや優れた面についても信じて
いきたいなと思いました。きっと、自分の中にもそれが存在している筈だとも。
主催した筈が、店主の方が元気をもらえた会でした。
皆様、本当にありがとうございました。


話の中で、「素晴らしいと思う本こそ、感想が書けなくなる」という意見でも
盛り上がりましたが、本に限らず実にそのように感じます。
書けば書くほど自分の表現が陳腐に感じられるようで嫌になってしまったり。
「その読んでほしい感じをそのまま書けばいいんじゃない?」というご指摘には、
目から鱗が落ちる思いでした(←これも陳腐な表現)。
確かにその方が伝わるときがあるかもしれません。
自分の気持ちをそのまま伝えるのは難しいです。
仮に伝えた!と思っても、自分と同等・同質の伝わり方をしているかは分からないし。


適切な言葉にならずもどかしいことが多々あるけれど、自分の心の中だけにそうやって
ひっそり溜まっていった澱のようなものが、形にならずとも自分を輝かせたりする
もとになっていたらいいなと思います。



    〔おまけ〕


角川文庫版『愛情日誌』に収録されている、『夏の力道山』。
読んでいくと、その内容に即した実にいいタイトルだと思うのですが、
今は知らない方が多いから・・・と指摘され、文庫のタイトルとして実現しなかったそうです。
力道山を直接に見ていなくても知ってはいますよね〜(一同賛同)という話題の後、
少しして夏石さんが「あっ!!」と叫び声を。
ちょうど夏石さんから見える位置に、力道山


夏石さんの座り位置付近から見えたもの。


アップ。


力道山は、私達をしっかり見守ってくれていたのでした。

アクセスカウンター