唐突に頭に閃いたので、今年の二月に読んだ本の話です。
普段あまり読まないタイプの本だったのですが、何故か
気になりました。
『さまざまな空間』(ジョルジュ・ペレック著、水声社)。
偶然、某大手中古書店で目についた、いわゆる
「ジャケ買い」です。これも本当に私には
珍しいこと。シンプルさに魅了されました。
何だかとっつきにくそうだったので、待ち時間の長い場に
一冊だけ持参して、いやおうなく読む環境を設定して臨みました。
そうしたら、新鮮な面白さを感じることができました。
著者が自分の存在する空間に思いを巡らすのですが、
その広がり方にとても惹きつけられました。
「ぼくは書いている・・・・・・」で始まる、手元の
「ノート」という章から以下、
「ベッド」
「寝室」
「アパルトマン」
「集合住宅」
「通り」・・・と広がっていき、
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「世界」
「空間」で終わる構成の効果だと思われます。
読んでいる自分がぐーーっと
ノートから上方、世界を見渡せるところまで
引っ張られていくかのような感じを与えてくれました。
だんだん遠ざかりつつ、俯瞰図を眺めているような
感じです。
哲学的な文章に縁がないまま生きてきた私には、
あちこち難解なところもありましたが、
全体としてとにかく新鮮で、気持ちのよい
印象を楽しめました。
たまにはいつも選ぶのと違ったジャンルの本も
読んでみようというのは、よく目にするアドバイス
ですが、こういう幸運な出逢いがあると
なるほどと深く納得させられます。