「石と古本 石英書房」の日々

お店の最新情報と、石や本、お散歩その他、店主の好きな物事について綴ります。

第三回 新解さん友の会・その三

記事の間隔がまだ空きがちですが、変わらずやっぱり暑いです。
子供達もとても暑がってぐんにゃり。
母は、恒例の夏休み宿題への懸念が早くももくもくと湧き上がってきて
おります。
 もう〜、受験生なんだからいろいろさっさと片付けて!!
 そのように叫びたい気持ちです。




さあ、前回の続きです。
新解さんもやっと三回目に入りました。


▼「悪」シリーズ

 新解さんは、心の機微についての表現に非常に力を入れる方だと
感じています。
 少しの表現の違いでいかに正確に描写するかということに
心を砕いておられる、そんな印象があります。
 良い内容はもちろんですが、負の感情にこそ
その本領は発揮されているのではないかと思われます。


 指摘があったのは、以下のような言葉です。
 「悪態」
 「悪念」
 「悪辣」
 「悪弊」
 「悪妻」
 「悪意」

 次々と目に入ってくる「悪」な言葉たち。それぞれの引用は
略させていただきますが、
 『新明解国語辞典』をお持ちの方はぜひご覧になってみて下さい。
 



 これらの語釈や用例は版によって少しずつ、あるいは思い切って
手を加えられている場合があります。
 例えば「悪念」のように七版になってやや簡略化ともとれる
変更が生じている場合もありますが、逆により詳しく
丹念な説明になっているケースもあります。
 

 後者の実例として「悪意」を引用します。
  <六版>
    一、相手に不幸・苦痛を与え、傷つけようとする心。
    二、意地の悪い見方。


  <七版>
    一、意図的に相手に不幸をもたらしたり苦痛を与えたり
しようとする気持。
    二、相手の言動について、殊更に欠点だと判断される
点ばかりを取り上げた見方。


     ※三、と用例は割愛しています。
      また、ここでの漢数字は実際には丸で囲まれています。

   

  両者を比べると、何とかしてより適切な意味を伝えようとする
懸命さが伝わってくるような気がしてなりません。
  こういうものを読むと、日頃の会話等でももっと気を配って
  言葉を選ばねばという思いに駆られます。
  更にそれを皆で心がければ、世の中の争いの種は
ずいぶん減るのではないかしら。
  ちょっと発展しすぎた発想かもしれませんが・・・。
  
  
 

そして、
各ページに五十音順に並ぶ、言葉の羅列が目に入ることで
浮かぶ発想もあります。
このことも辞書を用いる醍醐味の一つです。


「あく」・・・・→「アクセサリー」に着目。
 
 「服飾用品。」と説明されていたのが、第七版では更に細かくなり、
 「見た目をよくするために、(略)付ける物。」という表現が加わりました。
 辛辣さがちらちらしている気が。


そこから、新解さんの女性観等の話に発展しました。
この会でよく取り上げられ、盛り上がる話題です。
当友の会はいつも女性が多数になっていますが、ぜひ男性の意見も
もっとお聞きしたいなと思っている話題でもあります。
新解さんは男性ですから。
  果たして男女の違いで明確に異なる考えというのがあるのか、
  それは私が個人的にときどき意識し、気になり続けているテーマでもあります。





▼〔 〕の中身シリーズ
 新解さんの情熱が、本文だけではスペース不足で溢れた部分ではないかと
 感じている、そんな箇所です。


 上の「悪」シリーズでは、「悪妻」にこのパターンがみられます。
 もう一つの実例を。


 「外見」 外部から見る人に与える印象。
      〔内容や内実とは異なることが往往にして有る〕


辛いけれど、ユーモアと共に暖かな眼差しらしきものもほんのりと
確実に感じられる、この〔 〕シリーズが好きです。
人間味があるなあと思います。
こういう観点を持つような人物が、私は好きだともいえるようです。





辞書一冊(実際には七冊使用ですが)で、この深い深い楽しみ。
無人島に持っていくなら”シリーズでは、やはり私は辞書は
欠かさないでしょう。 枕にもできるし。




ラストの「爆発系」については、次回に続きます。
長々失礼します。
また、ところどころ行変えがうまくいっていないところがあって
読みにくい点があるかもしれません。できるだけ揃えようとして
いるのですが・・・。ご容赦下さいませ。

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