「石と古本 石英書房」の日々

お店の最新情報と、石や本、お散歩その他、店主の好きな物事について綴ります。

第三回 新解さん友の会・その四

大変大変久しぶりの更新となってしまいました。


おそらく今までで最長の“休業”かと思います。
子供の宿題のことなど申す資格はない感じです・・・。





さて、今回の「新解さん友の会」で、私的には一番注目
したかなと思われるのが以下の分類でした。


▼爆発系(小粒のものは「線香花火系」) 


 第一版〜第七版を手元に揃えると、特権(?)が得られます。
 気になった言葉を見付けると、その説明等の記述の変遷を
 その場で辿ることができるのです。
 1972年〜2012年、その年月の中での変化は随所に見られます。
 語釈ばかりでなく、用例だけが変わっているようなケースも
 あり、それを追うだけでもきりのない楽しさがあります。

 

 「爆発系」は、版を重ねるごとに新解さんの思いが
 膨らんでいき、ある時点でどかーーんと急速に説明が増す、
 そんな事例を示しています。


 例えば、「たかだか」。
 私は最初、七版での用例の
 「芸のないタレントは人気が続くのも――二、三年だろう」
 が面白いなあと注目したのですが、他版を見て驚いてしまいました。
 四版からぐっと記載が増えており、そこでの用例には
 「血に飢えた野蛮な独裁皇帝」などという表現まで登場しているのです。
 六版で現行の記載になり、皇帝は姿を消すのですが。

 
 変遷を目の当たりにして私の頭に思い浮かんだイメージは、
 音楽のクレッシェンド・ディクレッシェンド(<・>)でした。
 全版を通じて流れる、というか形成されている一つの曲のようだと思いました。





 「友の会」中に指摘された中の「したたか」も印象的でした。
 スタート(一版)では


  一、強く。「――打たれる」
  二、ひどく。「――飲む(酔う)」


 (以下略)といった感じで、計三行だったのですが、
 四版になると記載は七行となり、五版で爆発します。
 

 五版では実に、三十二行に及びます!
 あまりに長過ぎるため引用は略させていただきますが、
 多彩な用例といい、爆発ピークの気合いを感じます。
 同時に、少しばかりながら押さえきれない笑いももたらします。


 数も量も多い用例の中から一つだけ。


  「甘いマスクとつやのある声だけが売り物だと思っていたが、最近は
  個性的な芸が光り始め、――に〔=目が離せない存在に〕なってきた」


 長いです!どれもこれもがこのような感じです。
 そして、「たかだか」のときといい、新解さんは芸能界への関心も
 かなりお持ちのようだということも推察されます。
 きっと、はっきりとした芸能人の好みもおありなのでしょう。
 そちらもなかなかに興味深いです。





およそ三時間強、こうして話は尽きませんでした。


終会直後の机です。広がる辞書の花。






知らなかった言葉の意味や使い方に感心したり、
新解さんの“思想”に共感したりときに反発や疑問を感じたりで、
笑ったり唸ったり。今回もたくさんの充実した時をもらえました。


暑いさなかにお集まりくださいました友の会の皆様、
そして会長の夏石鈴子さん、誠にありがとうございました。
どうにかこうにか綴ることができたのは皆さんと過ごした楽しい時間のお陰です。


自身の喜びの体験を語るばかりの長文で失礼しました。
ご興味を持ち、お付き合い下さった読者の方々にも感謝申し上げます。





ここまで申すのは、私自身なかなかにハードだったからです。
ふー。連載(?)を終えられて本当にほっと致しました。


理由の一つと思われる、不調の気配について「新解さん」から引用します。


 「更年期」(七版)
   〔「更」は、新たな段階へ移行する意〕人、特に女性が成熟期を過ぎ
   老年期にさしかかり、生理機能に種種の変化が生じる時期。


“新たな段階”と、希望もほの見える表現も使って下さっていますが、
これも五版までは・・・


   女性が そろそろ太り始めや成人病の事などを気にするようになる時期。
   〔普通の人は、四十五、六歳ごろから〕


となっていました。
もう〜!!と言いたい気持ちですが、現在は変更されていますのでまあよし。





すっかり私の心身に寄り添っているかのような存在となってきている
新解さんです。
次の友の会もいずれ開催しますので、どうぞよろしくお願い致します。



  新解さん友の会」の活動は、非常にのんびりした頻度で
   ひっそり行なわれています。
   お問い合わせの際は石英書房までお願い致します。

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