大変長くなっておりますが、「新解さん」シリーズの続きです。
およそ五つずつということで各自調べてきた課題ですが、
一つの言葉から派生する話題が多く、一周するにも長い時間がかかります。
知らず知らずに皆さん五つどころではない数の話題を語っているのでした。
集中する時間なので、後になって疲労感もありますが、それは快い疲れです。
広がりを見せるもう一つの理由は、手にしているのが辞書であることです。
辞書を使ってある言葉を引くときには、開いたページの中には多くの他の言葉も
掲載されています。
そちらにも注目すべきことを見付けてしまうことが多々あるのです。
そして、その関連語へと更に広がることも・・・。
このことは、マイナスではなく、むしろ「本」という形態が招く良さの一つであると
捉えたいと考えます。効率的とはいえないのかもしれませんが、
楽しい楽しい時間をもたらしてくれるのです。
なお、夏石さんはこのあたりの点、隣り同士に掲載された言葉の並びの妙と
いったことについても調査中とのことでした。
これもまた非常に興味深いです。
皆さんの“調査項目”の発表が一通り終わった後は、各自が思いつくままに
いろいろな言葉を挙げてお話しました。以下は登場した言葉のうちの幾つかです。
新明解国語辞典をお持ちの方は、ぜひお調べになってみて下さい。
かたわら、グッド、虎、ノーモア、並、遊園、愚者
今回、私は最新の情報を活用してみたくて、出て間もない第7版を主に
使って調べました。
ときどき旧版と比べながら、どんな事柄が新しく追加されているかを発見していくのは
楽しかったです(一方、消えていった項目については手が及ばなかったのですが・・・)。
深く広い世界です。一人にやにやしてしまうこともしばしばでした。
もう先も見据えておいでの夏石さんは、数年後(たぶん)の第8版に向けての
準備も進めていらっしゃいました。8版ではそのままか変化するか、
あるいは消えていくか。要経過観察の項目を幾つかご指摘いただきました。
未来予想もわくわくします。
また、7版では時事を色濃く反映したと思われる点が多く見られることも
特徴的だといえます。
調査した夏石さんによって、「震災物件」と名付けられています。
既に結構な数を見付けて下さっていました。
例えば「世の中」の用例です。
6版 「今は原子力の世の中だ。」
↓
7版 「今はコンピューターの世の中だ。」
一見さりげないようですが、明らかに気配りされているのではないでしょうか。
それらを追っていくと、この辞書が昨年の震災の後に刊行されたということが
如実に分かります。
それらの語釈・用例の動向もまた、今後が注目されます。
現在・過去・未来と長い時をぐるぐると巡った、濃い読書会でした。
夏石さんが、「新解さん」を楽しむコツを教えて下さいました。
これからお試しになりたい方には特にご参考にしていただけるかと思います。
1.自分が知っている言葉を引く
2.五十音順に引かない
3.最初は30分以内にする
4.心の動きや動作を表す言葉を引いてみる
自分の経験に照らし合わせても、納得できる四カ条だと思いました。
これらを実践することで、初めての方も無理なく楽しんで
新解さんの魅力を味わうことができるのではと思います。
この読書会については、二度とも事前に具体的な日程を広く公表しておりません。
それは、ご参加の皆さんが自由に多くの発言ができること、そしてじっくりお話に
耳を傾けていただけることを最優先しているためです。
当店の規模とこの主旨を合わせると、だいたい十人程度までが理想的な
人数のように感じられております。
そのためひっそりと実施していますが、新メンバーも常に歓迎致しております!
深くご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、メール・お電話等で
ご遠慮なくお問い合わせ下さいますようお願い申し上げます。
ご希望の方には次回開催の際には当店よりご連絡を差し上げます。
開催は大変ゆっくりとしたペースになるであろうこともご了承いただけましたら
幸いです。
※ご連絡先は、当ページ左側のプロフィール欄、自己紹介をご参照下さい。
長々しい記事で大変失礼致しました。
当日ご参加の皆様、その私達と共に歩み、時に先導して下さった
夏石鈴子さんはもちろんのことですが、最後までお読み下さいました
皆様にも感謝申し上げます。ありがとうございました。