一人で突き進む石馬鹿シリーズ。
今回はこちらです。
クンツァイトの卵型磨き。オーストラリア産です。
透明なクンツァイトのピンク色には独特な個性があって素敵。それを小説の中で存分に表現していらしたのは、田辺聖子さん。当ブログでも何度も触れていますが、私の大好きな作家さんのお一人です。
「透明な宝石であるがカットにテクニックがあるとみえて、饒舌な光沢を放った。無数の花弁がいちどきに開いたように光をあつめ、そこへ水滴が飛び散ったように光が盛り上り、凹む。ライラック色が引き絞られたように一点にあつまるかと思うと、たちまち、ピンクの線条に拡散して光をはね返す。」
短編 『薔薇の雨』より
(中公文庫『薔薇の雨』所収)
何度読んでもうっとりします。
この特徴的な色味には、私はどこか憂いの影と共に凛とした強さを感じます。その雰囲気は、この短編のテーマと重なっているのがまた凄い、勝手にそう感じています。
こんな個性をもつ透明なクンツァイトも好きなのですが、手持ちの卵はほぼ不透明です。
初めて見たとき、その柔らかい感じもまたこの石の魅力なのだなあと知りました。ピンク色も、こちらは少しサーモンがかった感じが穏やかで親しみやすい雰囲気だと思えます(個人的印象です)。黒っぽい内包物が混じっているところも、これはこれでまた好ましい。完全でないところがほっとします。
卵の形もとんがりすぎていないところが好き。
柔らかな優しい気持ちを私の中から誘い出してくれるような気がします。
クンツァイトという同じ石でもこんなに違う、やっぱり奥深い石の世界に私はどっぷりはまり続けるのでしょう。
ちょっと話はずれますが、薔薇も実にいろいろな種類があって、色味も多様、香りも少しずつ違うなあと痛感したのはバラ園でした。バラ園と言えば
私にとっては千葉県、谷津バラ園(習志野市)や京成バラ園(八千代市)です。今期はバラ園散歩は実現できなさそうですが、これもまた、本や画像で満喫しようと思います。香りは体感できないのが残念ですが・・・。