雨が続きます。
気温も一気に下がり、あの暑かった夏の記憶も何だか霞んでくるようです。
盛りで散っていく金木犀。
これは雨降り初日。日を追うごとにどんどん落花していきました。
大好きなあの香りは、また来年、でしょうか。
密やかな雰囲気の漂う週末の店内。雨の音の中、ときどき車の音が聞こえるくらいの静けさ。
今回はどの石にしようかとあれこれ迷います。
ときどき登場する、石馬鹿シリーズです。
今日はこちら。
ブラジル産のシトリン(黄水晶)の原石です。
こうして置いて眺めると、生き物のような存在感を放っているように私には感じられます。“だるまさんが転んだ”のように、鬼の私に気付かれないくらいに少しずつ進んでいそうな。妄想っぽすぎるかも。
ごつごつした表面は、結晶の成長する過程を物語っています。この形ができるまでにどれほどの時間がかかったのか。ところどころに小さく煌めいている虹を探すのも楽しいです。
真ん中より少し右下に、小さな虹色が。この石のあちこちにちらちらと存在します。
シトリンは、宮沢賢治がその作品の中で主に夕暮れ時の空の色の表現に使っていました。昼間とはいえ
雨空の薄暗さの中でこの石を眺めていると、なるほどど実感されます。仄かなオレンジを含んだ薄い黄色。
私には石の声を聞き取るといった力はありませんが、静けさの中で一人石と向き合っていると、友のような親しみの感情は深まる気がします。
私にとっては充実の時間です。