「古本 石英書房」の今週の営業日は、9(水)、12(土)です。
11日(金)は祝日のため、休業させて頂きます。
では、前回の続きです。
「新解さん」お茶会は、総勢9名で行われました。
基本発表分として、各自5つずつの語句を用意しておくことになっていましたが、
何しろ辞書、選択肢が非常に多く大いに迷いました。皆さんも同様だった
ようです。
順番に一つずつの発表をしつつも、話題がその言葉に関連した言葉に及んだり、
隣りに記載された違う言葉が目に留まったりと話は果てしなく広がります。
普通の議論等でしたら“脱線”と呼ばれるようなことも、このお茶会では
“発展”です。用例に笑いが起こったかと思うと、語釈の文章から人生を
考えたり。
非常に濃い時間があっという間に過ぎていきました。
導入から盛り上がりました。
その代表格は、「初老」です。
手持ちの第四版より引用します。最新の第六版でも変わっていません。
しょろう【初老】 肉体的な盛りを過ぎ、そろそろからだの各部に気をつける 必要が感じられるおよその時期。〔もと、四十歳の異称。現在は普通に六十歳前後を指す〕 (626ページ)
四十代としては、いろいろ言いたいことがあります。世代様々では
ありましたが、皆さんも同様でした。
以後、会の間ことあるごとに「初老」がキーワードとなりました。
一つずつの「発表作品」については割愛させて頂きますが、先に述べたように
笑いあり、しみじみありで大変充実したものでした。
話の中身を大きく分類すると、以下のような感じに分けられるかと思います。
挙げた例等は、ご参加の皆様からのご指摘に基づいております。勝手ながら
引用させて頂きました。
ご容赦下さいませ。
◇比較
「純文学」と「大衆文学」、「俺」と「僕」など、定義を比べることで
「新解さん」の考え方が見えてくるかのようです。
文字通りなかなか明解なため、その定義への共感・反論も活発に
意見が出ました。
※『新明解国語辞典』をお持ちの方は、それぞれの言葉をぜひ引いてみて
頂けましたらと思います。
また、同じ言葉であっても版が異なると表現が変化してくるという
比較も多く行われました。
◇細かな技
語釈等の文中に登場する表現に関するものです。説明しにくいので、
実例で。
つみほろぼし【罪滅(ぼ)し】 何かよい行いを(少し)して、今までに 重ねて来た罪のうめ合わせをすること。
(第六版 995ページ)
注目点は( )の中です。あくまで少しだけ、なのです。
こういった( )だけでなく、様々な配慮(?)がなされている
ところを見つけて楽しみました。
◇不思議な引き合い
なぜこれを出すのかという例えがありました。
これもいろいろなのですが、たとえば、「やれやれ」の用例の一つです。
「 "――〔=骨が折れる事だ〕ヒト助けも楽じゃない"って表情の警察犬」 (第六版 1509ページ)
用例がどうしてわざわざ犬である必要があるのでしょうか。しかも警察犬。
場面を思い浮かべると、何だか笑ってしまいます。
今、うちの子供たちがはまっているドラマ、「デカワンコ」も
何とはなしに思い出されました。
◇人生を考える
「新解さん」が、ご自身の生き様を反映させるかのような語釈を
しばしば、ときに熱く語るので、読む私たちもそこからそれぞれの
人生に思いを馳せることになる場面もありました。
こちらについては、次回に続きます。