「石と古本 石英書房」の日々

お店の最新情報と、石や本、お散歩その他、店主の好きな物事について綴ります。

ささやかでも、いいことを


日々違う表情を見せる空。
うまくタイミングが合って、撮れると嬉しいのです。

 



今年も残り少なくなりました。

ふと思い立ち、最近印象に残った本についてなど綴ります。


▼『はたらくわたし』(岸本葉子、sasaeru文庫)


著者の日記ともいえますが、タイトルにあるように
仕事に対する考え方がしばしば語られています。
私はこの方の作品はたぶん二、三冊読んだだけですが、
どんなことを考えて、どんな姿勢で企画から始めているかという
内容が大変興味深く、他の作品を更に読んでみたくなりました。
複数の作品に触れてから背景を知る、というパターンとは
逆方向の道筋を辿る今後の愉しみができました。


文章を書くことへの取り組み方についても、私にとってとても参考に
なるという思いで読めました。
もう少しはブログ記事の更新も増やしたいので。
私に刺激を与えてくれる本でした。




▼『鉄道旅ミステリ1 夢より短い旅の果て』
 『鉄道旅ミステリ2 愛より優しい旅の空』 
  (柴田よしき、角川文庫)


大学の「鉄道旅同好会」が主となるお話です。
「鉄道同好会」ではないところがミソで、一文字の違いでも
その趣旨が異なる点はしっかり主張されています。
この本の個性はストーリーそのものというよりは
鉄道旅の描写で発揮されているように感じます。
読んでいてとにかく楽しくて・・・何だか幸せな気持ちになれました。


周囲(家族含む)から私は“鉄”と見做されているようですが、
指摘されるたびにそこまでは・・・とやや否定しています。
的確に度合いを表現できないなと常々もどかしく思っていたのですが、
この本と巡り合い、見つけました。
そう、私の“鉄分”はこのくらいなの!
共感しながらの読書旅は実に心地よかったです。





今年の読書体験で印象に残ったことは、何が幸いするかは
分からないということです。
今更の年始のことで恐縮ですが、今年は年明け早々に
大風邪をひきました。
熱がひいた後もしつこく咳が続いて動くのが辛く、毛布にくるまって
時折うとうとする数日、そんなときに読んだのは
沈まぬ太陽』(山崎豊子新潮文庫)でした。
実家で見つけていつか読もうと持ってきたきりになっていた全5巻、
動かない動けないその時期でなければ
じっくりと読むことはできなかったと思います。
体調は悪いながらも、濃い世界を堪能しました。



前述の鉄道旅ミステリも、訳あって頻繁に電車に乗る日々ができたことで
一気に読了できたといえます。しんどい日々でもあったのですが、
充実した読書時間が獲得できていたことは小さな喜びでした。




辛かったり苦しかったりすることの中にも、だからこそという
良かったことも存在する、それを忘れずにいようと思います。




諸々の雑事や体力低下(苦笑)のためもあってか、
年々このブログの更新も減ってしまっておりますが、
今後も細々とでも途切れずに続けて参ります。
暗い話題でなく、ほんのりとでも明るい光を発するような
ものでありたいと考えています。
どうぞよろしくお願い致します。


年内最後の記事となるかもしれませんので、ご挨拶まで。







目にした瞬間は生き物とは感じられず、二度見してしまいました。
門が閉まっていて人間が立ち入れないのを(おそらく)分かっていての
爆睡ぶりでした。

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